日曜の時間はまもなくお昼の12時。
天気は雨。
美容院に行く、と一足先に出かけた妻を
あとから追いかけるために家を出る。
最寄りの駅までは歩いて10分。
いつもはセカセカと無心で足を動かす道も
今日は来た電車に乗ればいいや、と
気楽なものである。
駅で空のペットボトルを捨てたかったが、
あいにく玄関に置き去りにしたと気づく。
ほどなくして最寄り駅に到着。
リュックから定期券の入った財布を出そうと
カバンの中をのぞくと
捨てたかったペットボトルが2本。
「ナイス」と10分前の自分を褒める。
改札を抜けてホームの階段をのぼる。
いつもは会社に向かう憂鬱な登り道も
この日は足取りが軽い。
ホームの人がまばらなのも新鮮。
普段は座らないベンチに座ってみると
正面の窓の落書きに自然と目が移る。
取るに足らないような下ネタの嵐。
でもきっとこれを描いた人たちは
この駅なんてもう使ってはいないのだと
妄想を膨らますと、
妙にエモーショナルを感じる。
普段何気なく通う道も
自分の心にあるフィルター次第で
ドラマチックな場面に変わる。
心を豊かに保ち続けるということは
こういうことを言うのではないだろうか。