【読書記録※ネタバレ注意】
タイトル:さんかく 著者:千早茜
文庫本表紙のおいしそうなイラストと、最近読んだ本の著者でもあったことに惹かれ購入し、完読した。
本の名前からもっとドロドロした「さんかく」関係に発展するのかと思っていたが、お腹いっぱいで定食屋さんを出た時の気持ちくらい満足感に溢れていた。
出てくるご飯の情景描写が鮮明で、その美味しそうというこの本で最もキレイな部分と、登場人物がそれぞれ抱えている汚い部分との対比が美しいなと思った。
登場人物がちょっとずつ人として至らない部分を持っているのも良い。
そして何よりも彼女持ちの年下男性と、年上独身女性が一つ屋根の下で同居しているにも関わらず、やましいことはひとつもしない。ただひたすらに美味いご飯を食べる。
(下世話な話、キスくらいするもんだと思った)
でもそれが、この本全体の満足感を高めている何よりの理由だと思う。
そして最終的には、それぞれが自分の至らない部分を受け入れ、前に進む姿を感じることができる。
何か特別なことはしていない。ただその時に食べたご飯と向き合っているだけ。でもしれが実は難しく、素晴らしいということを感じた。